作成日
:2021.04.12
2021.09.02 11:10
先週初めはイースター休暇で取引が乏しく金融市場全般が穏やかで、ゴールド(XAU/USD)は狭いレンジでの推移となった。6日には米国債利回りが大きく低下し、これが米ドルの上値を抑えるとともにゴールド価格の上昇を支援した。その後、7日に重要なレジスタンスラインである1,745ドルを超えられずにいたが、翌8日に米国10年国債利回りが3.7%低下すると、ゴールドの上昇に弾みがついた。しかし、今年3月初旬以来の高値である1,758ドルに達すると9日には反落し、1週間でおよそ1%の上昇となる1,750ドルを下回る水準で取引を終えた。
5日に米供給管理協会(ISM)が発表した非製造業総合景況指数によると、3月は2月の55.3から上昇し、63.7となった。これは市場予想の58.5を大きく上回る数字であり、米国のサービス業が過去最大のペースで拡大していることが示された。これを受けて先週初めのマーケットはリスクオンで反応し、S&P500が史上最高値を更新するとともに、米ドルは伸び悩んだ。
その後、主だった経済指標発表が乏しい中、6日の米国10年国債利回りは続落するとともに、ドルインデックスも7日に落ち着きを見せるまで下落を続け、直近2週間の安値を記録した。
7日に公表された3月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録によると、経済見通しサマリー(SEP)でタカ派色がわずかに強まったものの、「多くの参加者は、量的緩和策(QE)縮小実施は経済次第であり、それに先立ってその道筋を市場にしっかり伝えることが重要だと強調」しており、FOMCのメンバーは経済回復を支援するために既存の政策を維持することに概ね同意したことが示された。
8日に行われた国際通貨基金(IMF)の会議の席上、FOMCのパウエル議長は、インフレーションに対応する伝統的な手法は政策金利引き上げだと認めた上で、物価の一時的上昇は継続的なインフレーションを意味しないと改めて強調した。パウエル議長がインフレ懸念を否定したことにより、米国債利回りは押し下げられるとともにゴールド価格上昇が継続した。
また、米労働省労働統計局が9日に発表した卸売物価指数(PPIコア指数)によると、3月は前年同月比2.5%増から3.1%増へと上げ幅を広げた。
13日(火曜日)、3月分の米国消費者物価指数(CPI)が公表される。市場予想では、食料とエネルギーを除くコアCPIは2月の1.3%から増加し、1.5%になると見込まれる。なお、米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレーション指標としてPCEデフレーターを使用しているが、市場予想を超える数字が出れば米国債利回りの上昇を促し、米ドル上昇を支援する可能性がある。
15日(木曜日)には、小売売上高が公表される。2月の3%減に対して3月分の市場予想は4.7%増であり、より良い数字が出れば米国株上昇に弾みがついて米ドルの上値を抑える可能性がある。また、週末前にユーロ圏のCPIと中国の第1四半期国内総生産(GDP)が公表される予定となっており、これらの数字によっては相場が動く可能性がある。
以上の通りであるが、1週間を通してゴールドは主に米国債利回りに影響される見通しである。
ゴールドは8日に上昇した後、50日移動平均線の1,760ドル付近で強いレジスタンスラインに上昇を抑えられている。9日に下げに転じたものの、20日移動平均線付近の1,731ドルで勢いを失い、週末時点で今年1月高値を起点とするフィボナッチ・リトレースメントの23.6%である1,745ドル付近に位置している。
また、RSIは50よりも上で推移しており、ここでも売り圧力の弱さを確認できる。
既に指摘した通り、1,760ドルに最初のレジスタンスラインがあり、この水準を日足の終値で超えると、さらに上昇してフィボナッチ・リトレースメント38.2%に相当する1,785ドルを目指す展開を期待できる。その一方、1,745ドルよりも下で推移し、この水準でレジスタンスラインが意識されると、20日移動平均線である1,731ドルや静的レジスタンスラインである1,720ドルを試す動きになる可能性がある。
FXStreet提供: 2021.04.09.JST19:58
作成日
:2021.04.12
最終更新
:2021.09.02
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