作成日
:2021.04.19
2021.09.02 11:10
4月15日前半のゴールド(XAU/USD)は1,750ドルを下回る狭い範囲のレンジで推移したものの、米国長期国債利回りの急落を受けて大きく上昇した。ゴールドは週末にかけて強気姿勢が継続し、16日には今年2月以来となる1,783ドルの高値水準に達した。週足でおよそ2%の上昇を記録しており、これは昨年12月以来で最大の数字である。
先週初めは重要な経済指標発表がなく、米国10年物国債入札に十分な応札があったため利回り上昇につながらず、これを受けて米ドルも軟調な推移となった。
13日、米国労働統計局から消費者物価指数(CPI)が発表され、コアCPIは前年同月比で2月の1.3%上昇に対し3月は1.6%上昇した。これは市場予想の1.5%を上回ったものの、物価上昇圧力が事前予想よりも弱いことが確認されたため利回り上昇につながらなかった。米国10年物国債指標銘柄利回りは1日で3%以上低下し、ゴールドはレンジ内の上部で推移した。
14日、ワシントン経済クラブ(the Economic Club of Washington)でのオンライン対談において、米連邦公開市場委員会(FOMC)のパウエル議長は「低インフレとデフレは中央銀行の不況対策能力を削いでいる」「インフレ率は2%を下回っており、インフレ率を適度にオーバーシュートさせたい」と述べ、2022年末まで政策金利引き上げの見通しはないことを繰り返し強調した。
15日には米国国勢調査局から小売売上高が発表され、2月の2.7%減少に対して3月は9.8%の上昇となった。さらに、同日に発表された前週分の新規失業保険申請件数は、今年最低水準の57万6,000件となった。これらの数字は市場心理に安心感をもたらし、S&P500は史上最高値を更新した。この結果、米ドルは継続的に売られ、米国10年国債利回りは1か月以上ぶりの低水準となった。その一方、ゴールドは1日で1.5%以上の上昇となった。
週末にはミシガン大学消費者態度指数が発表され、4月は前月の84.9からやや上昇して86.5となった。しかし、米ドルの売り圧力は収まらず、ゴールドは1,780ドルを超える水準まで上値を伸ばした。
今週初めは、重要な経済指標発表は予定されていない。20日(火曜日)にイギリスの労働関連指標が発表され、これはゴールド価格に直接的な影響を与えないと見込まれるものの、ポンド/米ドルの急激な動きが米ドル全体の推移に影響する可能性がある。
22日(木曜日)、欧州中央銀行が政策金利及び声明文を発表する。市場は政策金利変更を予想していないものの、資産買い入れ政策変更に関するフォワードガイダンスがあるかもしれない。ハト派的な金融政策見通しはユーロの重しとなっており、米ドル需要が高まる可能性がある。
最後に、23日(金曜日)にはユーロ圏、ドイツ、英国そして米国の製造業購買担当者景気指数(PMI速報値)及びサービス部門購買担当者景気指数(PMI速報値)が発表される。市場は、仕入価格の抑制の程度から相場の手がかりを得ようとしており、見出しの数字は重視されないだろう。その一方、投資家は引き続き利回りを重視する見通しである。
日足チャートによると、RSIは1月初旬以来の60を超える高水準で推移している。RSIを基準にして考えるとゴールドが買われすぎの水準になるには上値余地があるものの、さらに上昇する前に50日移動平均線付近で下値を固める可能性がある。
上値を確認すると、日足終値で1,785ドル(1月から3月にかけての下落を基準としたフィボナッチ・リトレースメントの38.2%水準)を越えれば、心理的水準である1,800ドルや100日移動平均線の1805ドルが視野に入る。
他方、サポートラインが1,755ドル(静的サポート、50日移動平均線)、1,745ドル(以前レジスタンスラインとして機能していた水準)及び1,735ドル(20日移動平均線)に位置している。現在のテクニカル分析を元にして考えると、ゴールド価格が1,755ドルを下回れば下落トレンドが形成される可能性がある。
FXStreet提供: 2021.04.16.JST13:47
作成日
:2021.04.19
最終更新
:2021.09.02
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