作成日
:2025.01.11
2025.01.11 03:41
◆ポンド、英長期債の動向次第で不安定に
◆ポンド、CPIや鉱工業生産など重要指標に注目
◆加ドル、トルドー首相の後継争いで動意付くことも
予想レンジ
ポンド円 191.50-197.50円
加ドル円 108.00-112.00円
1月13日週の展望
英国からは週半ば以降に消費者物価指数(CPI)や国内総生産(GDP)、鉱工業生産や小売売上高など重要な経済指標が発表される。それまでは、今週ポンド売りのきっかけとされた英長期債の動向を見極めながらの取引となりそうだ。今週、英10年債利回りは2008年の金融危機以来の水準、30年債利回りは1998年以来の水準まで大幅に上昇した。
英長期債の急落(金利は上昇)は、スターマー英首相率いる労働党政権が昨年10月末に発表した予算案がきっかけだ。大型増税とともに過去最高に近い借入れ計画が明らかになり、英政府の財政拡大の方針を受けた債券需給の緩みが懸念され続けている。リーブス財務相は財政規律の順守を訴えたが、借入コストの上昇は更なる増税や支出計画の削減に繋がると危惧する声も高まってきた。経済成長のブレーキになり兼ねない悪い金利上昇の流れを、今のところ英政府には止める術が無いと市場では認識されている。ポンドの戻りも限られた幅となりそうだ。
経済指標では、15日に12月英インフレ指標が発表予定。今年最初の英中銀金融政策委員会(MPC)の結果発表は2月6日であり、今回のCPIはMPCの重要な判断材料になるだろう。前回のCPIは前年比2.6%と2カ月連続の加速、約8カ月ぶりの高水準だった。足もとで、市場は今年8回開催されるMPCで「0.25%の利下げは2回のみ実施」を見込んでいる。英長期金利が大幅に上昇しているなか、インフレの内容次第では利下げペースの更なる減速が取り沙汰されるかもしれない。
その他、16日発表の11月GDPは3カ月ぶりにプラス成長となるか、同月鉱工業生産も低空飛行から浮上できるかがポイント。12月小売売上高ではクリスマス商戦の結果が明らかとなる。
カナダからは12月住宅着工などの経済指標が複数発表されるが、インパクトはどれも強くない。そのため週前半は最新の労働データを受けた動きが持ち越されそうだ。前回11月分が新型コロナ禍を除き8年弱ぶりの高水準だった失業率への市場の反応が長引いてもおかしくない。
また、今後カナダの新首相誕生に向けた動きも加ドル相場の動意に繋がる可能性はある。トルドー加首相は6日、首相と与党・自由党の党首辞任を発表した。カナダ議会が3月下旬まで休会され、その間に自由党は次の首相に就く新党首の選出を進める。有力候補が掲げる経済・財政政策は金融市場にとってもちろん注視すべきことであるが、今回はまもなく就任するトランプ米大統領と渡り合える力量があるかも見据えるべき重要なポイントだろう。
1月6日週の回顧
ポンドは対円で週前半に円安の流れに沿って198円前半まで大幅に上昇も、週半ば以降は上値が重く193円半ばまで下落した。対ドルでは1.25ドル後半を頭に1.2230ドル台まで反落。英長期債の下落圧力が強まり、ポンド売りにも繋がった。
加ドルは対円で108円後半から一時110円半ばまで買われた。対ドルでも1.44加ドル半ばから1.4290加ドル台まで加ドル高に振れる場面があった。トルドー首相の辞任で新たなリーダー選出への期待感が支えとなった。(了)
(小針)
DZHフィナンシャルリサーチ提供: 2025.01.11
作成日
:2025.01.11
最終更新
:2025.01.11
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