作成日
:2025.10.22
2025.10.22 08:01
先週末の海外市場でドル円は、積極財政や金融緩和を志向するとされる高市早苗氏が新首相に就任したことを手掛かりに、海外勢が円売りを進めると一時152.17円まで強含んだ。ユーロドルはロンドン・フィキシングに絡んだユーロ売り・ドル買いのフローが観測されると一時1.1598ドルまで弱含んだ。
本日の東京時間でのドル円は、「高市トレード」の再開で底堅い展開になるだろうが、今後明らかになる経済対策とその財源確保などの内容次第も見極めていく必要がありそうだ。また、円安傾向となるなか輸入物価の上昇に対して、これまで円安の負の部分を指摘していた新財務相の動向も注目となる。
高市新政権は組閣初日から経済対策に着手しはじめているとされている。すでに先週15日には自民・公明・立憲の3党税制調査会長が協議を行い、ガソリン減税の原案作成で合意している。市場はこれ以外に、どの程度インパクトのある物価高対策を発表できるかを注目している。
一部では食品の消費税を2年間ゼロにするとの報道もある。また、連立を組む維新の会が主張する社会保険料の負担減についても、長期の議論が必要になるが、これらを経済対策に入れることができるかも注目だ。ただ、いずれの政策も社会保障などの財源への影響は必至なことで、問題は財源をどこから確保するかになる。高市氏は「必要とあれば赤字国債の発行もやむを得ない」と言及しているが、高市氏の後ろ盾となり財政規律派とされる麻生自民党副総裁や鈴木自民党幹事長がどの程度まで積極財政を容認するかが注目される。公明党の連立離脱により自民党内での風当たりが強くなり、党内融和を図るためには麻生派を中心とした意向を組みこまざるをえないと見込まれている。財政出動に積極となり期待通りの結果となった場合には円売りが進むだろうが、市場予想を裏切るような動きとなった場合は大きく巻き戻しが入る動きになるだろう。
円安が進んでいるなかで、高市首相や財務相になった片山氏の金融政策や為替についての発言も要警戒。高市首相は政策金利の引き上げが景気に悪影響を与えるとの考えを持ち、これまでも利上げに対しては厳しい発言を繰り返してきた。首相という立場に就いたことで、やや和らいだ発言をしているが、高市氏が師事した安倍元首相が日銀への圧力を高めたように、金融引き締めを行わないように圧力をかけた場合は更にドル買い・円売りを促すだろう。一方で、「高市トレード」の再開で円安に拍車がかかれば、輸入物価の上昇の悪影響という負の側面がある。高市首相が財務省に任命した片山さつき氏は積極財政論者だけではなく、円安による物価への影響を兼ねてから苦言を呈してきた。今年の3月のインタビューでは物価高の沈静化に向け円高進行が望ましい見解を表明し「120円台が適正水準」と述べている。昨日の時点では「為替はファンダメンタルズを反映して安定的に推移するのが望ましい」とありきたりの発言にとどめたが、今後の円安進行の物価高の影響について、より詳らかにする必要も出てくるだろう。
また、今回連立を組む維新の会は大阪以外では支持率が高くはなく、高市政権に維新の意向が組み込まれなかった場合はすぐに連立離脱の可能性が高い。昨年6月に当時の岸田首相と維新の馬場党首が「旧文通費」の改革に関して、次の国会で合意内容を確実に実現すると確認したが、維新はその約束を反故にされた経緯がある。当時維新は「党首会談での合意が国民に対する裏切りだ」と強く抗議したが、今回の高市政権でも維新の要求する政策が軽んじられた場合は、維新が連立を離脱するリスクもありそうだ。
なお、今後の本邦の重要日程は下記のようになる。
24日・所信表明演説(外交日程が入るため各党の代表質問は11月の予定)
26日・東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議
27-29日・トランプ米大統領来日予定(28日に日米首脳会談の可能性)
29-30日・日銀金融政策決定会合
31日・アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議
国内情勢以外では、引き続き米国の政府機関閉鎖や中国との貿易摩擦についても要警戒。昨日はハセット米国家経済会議(NEC)委員長が今週の政府閉鎖委解除の可能性を示唆したが、スーン共和党上院院内総務は昨日、政府閉鎖を終わらせるための「プランB」はないと述べ、交渉が袋小路に陥っていることを示している。21日目を迎えた政府閉鎖は経済への影響は拡大し米連邦準備理事会(FRB)の大規模利下げの可能性も高まり、ドルの重しとなる。米中貿易摩擦はトランプ大統領が「習近平国家主席との会談は実現しないかもしれない」と発言したと同時に、「習近平国家主席と良い取引ができると期待」と発言。二重人格のように二転三転する発言内容で市場は疲弊することになりそうだ。
(松井)
DZHフィナンシャルリサーチ提供: 2025.10.22
作成日
:2025.10.22
最終更新
:2025.10.22
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