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Bybitの固定金利ローンのやり方|仕組みやメリット・デメリットも解説
2025年1月6日、大手海外取引所のBybit(バイビット)は、「固定金利ローン」という新しいサービスの提供を開始しました。固定金利ローンは、ユーザー同士が固定の金利と期間で仮想通貨(暗号資産)を貸し借りできる、ピアツーピアのローンサービスです。従来の暗号資産ローンと比較して、金利や期間などの条件を希望できるといった柔軟性が特徴です。本記事では、Bybitの固定金利ローンの特徴や暗号資産ローンとの違い、メリット・デメリット、やり方をわかりやすく解説します。目次[非表示]Bybitの固定金利ローンとは固定金利ローンの仕組みローン対象銘柄担保銘柄と担保価値比率ローン期間利息と手数料LTV暗号資産ローンとの違いBybitの固定金利ローンの主な用途Bybitの固定金利ローンのメリット貸出も可能希望の金利を設定できる借入時に予期せぬ金利の変動がないBybitの固定金利ローンのデメリット対象銘柄が限られる必ずマッチングするとは限らない強制決済や機会損失のリスクがあるBybitの固定金利ローンのやり方借り入れる方法貸し出す方法借入状況を確認する方法ローンを返済する方法担保を調整する方法安全な借入と安定したリターンBybitの固定金利ローンとは画像引用:BybitBybit(バイビット)の固定金利ローンは、ユーザー同士がBybitプラットフォーム上で、仮想通貨(暗号資産)の借入や貸出ができるサービスです。固定金利ローンの仕組みBybitの固定金利ローンは、借り手と貸し手がそれぞれ希望の金利や期間を設定し、条件のマッチする注文があればローンが成立する仕組みです。望ましい注文がない場合には希望する条件を公開し、マッチする借り手や貸し手が現れるのを待ちます。マッチングは、Bybitが行います。ローンが成立すると、借り手はBybitに担保となる仮想通貨を差し入れ、貸し手から利息分を差し引いた仮想通貨を借り入れます。返済期限が到来したら、貸し手は貸し出した元本と、Bybitへの手数料を差し引いた利息を受け取ることができます。借り手のメリットは、借り入れた仮想通貨をBybit内外でレバレッジ取引や現物取引、資産運用などに自由に使えることです。一方で、貸し手のメリットは、固定金利で確実なリターンを得られることです。なお、固定金利ローンは、資金調達アカウントを使って貸し借りや担保差し入れを行います。事前に必要な資金を資金調達アカウントへ振り替えておきましょう。ここから、固定金利ローンの各種条件を詳しく解説していきます。ローン対象銘柄2025年1月9日現在、固定金利ローンで借入または貸出できる仮想通貨は、以下の8銘柄です。BTC(ビットコイン)ETH(イーサリアム)USDT(USDテザー)USDC(USDコイン)XRP(リップル)BNB(ビルドアンドビルド)SOL(ソラナ)MNT(マントル)担保銘柄と担保価値比率2025年1月9日現在、仮想通貨を借り入れる際に、担保として差し入れることができる仮想通貨は38銘柄です。ローン対象の8銘柄に加えて、時価総額上位のADAやDOGEなど主要銘柄の多くが利用できます。担保に差し入れる際の担保価値比率は、銘柄ごとに段階的に設定されています。例えば、USDTやUSDCであれば、差し入れ額にかかわらず一律100%です。BTCやETHの場合には、以下のように差し入れ額に応じて、段階的に担保価値比率が下がっていきます。差し入れ額(ドル)(*1)担保価値比率(*1)0 - 20,000,000100%20,000,000 - 50,000,00097.5%50,000,000 - 100,000,00095%100,000,000 - 200,000,00090%200,000,000 - 300,000,00080%300,000,000 - 400,000,00070%400,000,000 - 800,000,00060%800,000,000 - 1,500,000,00050%1,500,000,000 - 3,000,000,00030%> 3,000,000,0000(*1)2025年1月9日現在。また上表はBTC、ETH、TUSD、USDEの担保価値比率です。固定金利ローンの担保は、複数の銘柄を組み合わせて差し入れることも可能です。最新のローン対象銘柄と担保銘柄の情報は、以下のページで確認できます。Bybit固定金利ローン銘柄のページへローン期間2025年1月9日現在、固定金利ローンの期間は以下の6通りです。7日14日30日60日90日180日選べる期間は、仮想通貨によって異なります。例えば、BNBの場合は7日、14日、30日、90日から、USDTの場合は7日、30日、90日、180日から選択できます。(2025年1月9日現在)利息と手数料借り手と貸し手の希望条件がマッチしてローンが成立すると、金利が確定します。借り手が支払う借入利息と、貸し手が受け取る貸出利息の計算式は以下のとおりです。借入利息 = 借入額 × 金利(年率) × 期間 / 365貸出利息 = 貸出額 × 金利(年率) × 期間 / 365 × (1 - プラットフォーム管理手数料)借入利息は、借り入れ金額から前払いで差し引かれます。貸出利息は、ローン期間終了時にプラットフォーム管理手数料が差し引かれて、元本とともに貸し手に支払われます。借り手が期限までに返済しなかった場合には、24時間の猶予期間が設けられており、その間は延滞利息として時間単位で通常の3倍の金利分を貸し手に支払わなくてはなりません。猶予期間中に返済できなかった場合には、担保が強制決済されて返済に充てられます。借り手は、期限前に返済することも可能ですが、前払いした利息は返金されません。また、固定金利ローンでは以下の3種類の手数料がかかります。手数料の種類支払うユーザー手数料プラットフォーム管理手数料貸し手受取利息の10%延滞利息管理手数料貸し手(延滞時)受け取る延滞利息の30%清算手数料借り手(強制決済時)借入額の2%プラットフォーム管理手数料支払うユーザー手数料貸し手受取利息の10%延滞利息管理手数料支払うユーザー手数料貸し手(延滞時)受け取る延滞利息の30%清算手数料支払うユーザー手数料借り手(強制決済時)借入額の2%借り手は、延滞や強制決済になるとコストが増えるため、返済期限には注意しましょう。LTV固定金利ローンを利用する上では、「LTV(ローン・トゥ・バリュー)」の意味も理解しておきましょう。LTVを理解すると、いくらまで借りられるかや、いくら借りるとリスクが高まるかが分かります。LTVは、担保額に対する借り入れの比率であり、「借り入れ / 担保額」で表せます。例えば10万円分のBTCを担保として預け、7万円分のUSDTを借り入れた場合、LTVは70%となります。(以下の計算を参照)LTV = 7万円<借り入れ> / 10万円分<担保額>)× 100 = 70%数値 = 数値 ÷ 数値 × 数値Bybitの固定金利ローンには、以下の3種類のLTVがあります。初期LTVマージンコールLTV強制決済LTV初期LTV初期LTVは、ユーザーがいくらまで借りられるかを決めます。2025年1月9日現在、固定金利ローンの初期LTVは80%です。初期LTVが80%の場合、「担保額の80%までは借りられる」という意味になります。担保が10万円なら、8万円を上限として借り入れ額を指定できます。マージンコールLTVマージンコールLTVは、ユーザーにリスクの高まりを知らせるために使われます。2025年1月9日現在、固定金利ローンのマージンコールLTVは87%です。前述したとおり、強制決済されると清算手数料が徴収されるため、ユーザーにとっては不利になります。そのため、LTVが高まったら担保の追加などの対応が必要になりますが、常にLTVを監視するわけにもいきません。そこで役立つのがマージンコールLTVです。LTVがマージンコールLTVに達すると、メールやSMSで通知が届くため、ユーザーはリスクを察知できます。強制決済LTV強制決済LTVは、借り入れが強制的に決済される水準を表します。2025年1月9日現在、固定金利ローンの強制決済LTVは92%です。担保に差し入れている仮想通貨の下落などにより、借入額が担保額の92%以上になると強制的に決済されます。強制決済を避けるには、強制決済LTVに近づいたら担保資金を追加するか、自分で借り入れを解除しましょう。暗号資産ローンとの違いBybit(バイビット)では、固定金利ローンと同じく仮想通貨(暗号資産)を借りられるサービスとして、「暗号資産ローン」が提供されています。固定金利ローンと暗号資産ローンの主な違いは以下のとおりです。(2025年1月9日現在)項目固定金利ローン暗号資産ローン提供サービス借入/貸出借入のみ対象銘柄ローン:8銘柄担保:38銘柄ローン:174銘柄担保:178銘柄ローンの貸し手貸出ユーザーBybitプラットフォーム金利固定変動(1時間ごと)期間固定自由担保対応銘柄から複数の資産を担保として選択可能担保として選択できるのは1つの銘柄のみ固定金利ローン提供サービス借入/貸出対象銘柄ローン:8銘柄担保:38銘柄ローンの貸し手貸出ユーザー金利固定期間固定担保対応銘柄から複数の資産を担保として選択可能暗号資産ローン提供サービス借入のみ対象銘柄ローン:174銘柄担保:178銘柄ローンの貸し手Bybitプラットフォーム金利変動(1時間ごと)期間自由担保担保として選択できるのは1つの銘柄のみ暗号資産ローンは借入のみであるのに対して、固定金利ローンは貸出もできる点が大きな違いです。また、暗号資産ローンは金利が変動しますが、固定金利ローンは、金利も期間も固定されているため、借り手が想定外にコストが膨らむ心配はありません。一方、対象銘柄数は、固定金利ローンよりも暗号資産ローンのほうが充実しています。資金のニーズや利用したい銘柄に応じて、サービスを使い分けましょう。Bybitの固定金利ローンの主な用途Bybit(バイビット)の固定金利ローンで借り入れた仮想通貨(暗号資産)の使用方法に制限はありません。Bybit内での取引はもちろん、引き出しも可能です。借り入れた仮想通貨は、現物取引の資金としての利用はもちろん、レバレッジ取引の証拠金やアービトラージ取引、資産運用サービスなど多彩な使い方ができます。また、固定金利ローンでは、仮想通貨の貸出も可能です。売却予定のない仮想通貨を固定金利ローンで貸し出して、安定したリターンを得られます。Bybitの固定金利ローンのメリットここで、Bybit(バイビット)の固定金利ローンと暗号資産ローンを比較して、固定金利ローンを利用するメリットを紹介します。貸出も可能固定金利ローンは、ユーザー同士が仮想通貨(暗号資産)を直接貸し借りするサービスであるため、貸出も可能です。一方、暗号資産ローンは、Bybitから仮想通貨を借り入れるため、ユーザーが貸し手になることはできません。固定金利ローンは、売却予定のない仮想通貨を一定期間貸し出して、利息収益を得られる点がメリットです。希望の金利を設定できる固定金利ローンでは、借入・貸出ともに、希望の金利を自分で設定できる点もメリットの1つです。暗号資産ローンの場合は、提示された金利での借入しかできません。固定金利ローンで希望の金利でマッチング相手がみつかれば、暗号資産ローンよりも有利な条件で取引できるかもしれません。借入時に予期せぬ金利の変動がない固定金利ローンは、その名のとおり金利が固定されているため、借入期間中に金利が変動することはありません。暗号資産ローンの場合は、金利が1時間ごとに変動するため、想定外に金利が上がると予期せぬコストが発生するリスクがあります。固定金利ローンは、事前にコストを固定して、安心して借入したい人に向いているでしょう。Bybitの固定金利ローンのデメリット続いて、Bybit(バイビット)の固定金利ローンのデメリットも見ておきましょう。対象銘柄が限られる2025年1月9日現在、固定金利ローンで借入や貸出ができる銘柄は8銘柄、担保にできる銘柄は38銘柄のみです。暗号資産ローンが170銘柄以上で利用できるのに比べると、対象銘柄がかなり限られるといえるでしょう。今後、対象銘柄の拡大が期待されます。必ずマッチングするとは限らない固定金利ローンは、希望の金利や期間を設定できますが、それに応じるユーザーがいなければマッチングしません。市場動向からかけ離れた自分に有利な金利を設定しても、マッチングは難しいでしょう。提示されている他のユーザーの金利などを参考に、適切な金利を設定しましょう。強制決済や機会損失のリスクがある固定金利ローンでの仮想通貨の借入や貸出には、大きな価格変動による強制決済や機会損失のリスクがあるため、注意が必要です。仮想通貨(暗号資産)を借り入れている場合、担保に入れている銘柄の価格が急落して強制決済LTVに達すると、強制的に決済されてしまいます。また、仮想通貨を貸し出している場合には、急騰や急落した際に利確や損切りをしたいと思っても、売却はできません。固定金利ローンを利用する場合には、適切なリスク管理を行うことが重要です。Bybitの固定金利ローンのやり方ここから、Bybit(バイビット)の固定金利ローンのやり方を、以下の5つに分けて紹介します。借り入れる方法貸し出す方法借入状況を確認する方法ローンを返済する方法担保を調整する方法借り入れる方法まずは、固定金利ローンで仮想通貨(暗号資産)を借り入れる方法です。手順1以下のボタンをクリックして、Bybitの固定金利ローンページにアクセスします。Bybit固定金利ローンのページへ固定金利ローンのページへのアクセスは、トップページの「ファイナンス」にカーソルを合わせ、「固定金利ローン」をクリックすることでも行えます。手順2借り入れたい銘柄を選択します。手順3左側の「I Want to Borrow(借りたい)」の一覧に希望の条件の注文があれば選択します。すると、選択した注文の内容が、右側の条件入力欄に設定されます。注文の一覧に希望の条件がない場合は、右側の条件入力欄に以下の説明に沿って希望の条件を入力し、「借入」をクリックします。番号項目説明1取引「借入」を選択します。2借入額借り入れたい数量を入力します。3金利希望の借入金利を設定します。4期間借入期間を選択します。5担保資金調達アカウントにある対象資産の中から、担保に入れる銘柄と数量を設定します。複数の銘柄を設定することも可能です。6自動返信自動返済を有効にすると、決済日に資金調達アカウントの資産から自動的にローンを返済できます。手順4借り入れ内容を確認し、利用規約にチェックを入れて「確定」ボタンをクリックします。借入注文がマッチングすると、借入額から利息を差し引いた金額が資金調達アカウントに入金されます。貸し出す方法続いて、固定金利ローンで仮想通貨を貸し出す方法を紹介します。手順1以下のボタンをクリックして、Bybitの固定金利ローンページにアクセスします。Bybit固定金利ローンのページへ手順2貸し出したい銘柄を選択します。手順3左側の「I Want to Supply(貸したい)」の一覧に希望の条件の注文があれば選択します。すると、選択した注文の内容が、右側の条件入力欄に設定されます。注文の一覧に希望の条件がない場合は、右側の条件入力欄に以下の説明に沿って希望の条件を入力し、「貸出」をクリックします。番号項目説明1取引「貸出」を選択します。2貸出額貸し出したい数量を入力します。3金利希望の貸出金利を設定します。4期間貸出期間を選択します。手順4貸し出し内容を確認し、利用規約にチェックを入れて「確定」ボタンをクリックします。貸出注文がマッチングすると、資金調達アカウントから貸出額が差し引かれます。固定金利ローンの貸出状況は、借入状況と同じくマイダッシュボードから確認できます。借入状況を確認する方法へ借入状況を確認する方法固定金利ローンの借入状況を確認する方法を紹介します。手順1以下のボタンをクリックして、Bybitの固定金利ローンページにアクセスします。Bybit固定金利ローンのページへ手順2右上の「マイダッシュボード」で借入状況のサマリーを確認できます。詳細を確認したい場合は、「さらに表示」をクリックします。手順3マイダッシュボード画面で、借入状況の詳細が確認できます。「保留中の注文」をクリックすると、まだマッチングしていない借入注文が表示されます。マッチング前に「キャンセル」をクリックすると、注文を取り消せます。「進行中の注文」をクリックすると、マッチング済みの借入明細が表示されます。マッチング済みの場合、キャンセルはできません。また、貸し出しもしている場合は、こちらから状況を確認することができます。ローンを返済する方法借り入れたローンを返済する方法を紹介します。自動返済を有効にすると決済期日に自動的に返済されますが、期日前に手動で返済することもできます。手順1以下のボタンをクリックして、Bybitの固定金利ローンページにアクセスします。Bybit固定金利ローンのページへ手順2右上の「マイダッシュボード」の「さらに表示」をクリックします。手順3「概要」または「進行中の注文」から、返済したい借入明細のアクション「返済」をクリックします。手順4返済内容を確認して「確定」をクリックします。これで返済が完了です。なお、固定金利ローンの期日前返済は、全額返済のみ可能で部分返済はできません。また、期限前に返済しても、前払いの利息は返金されないため注意してください。担保を調整する方法LTVが上昇した際などに担保を追加したり、担保を減らしたりする方法を紹介します。手順1以下のボタンをクリックして、Bybitの固定金利ローンページにアクセスします。Bybit固定金利ローンのページへ手順2右上の「マイダッシュボード」の「さらに表示」をクリックします。手順3「概要」から「担保」をクリックして、担保を調整したい仮想通貨明細のアクション「調整」をクリックします。または、右上の「担保を追加」をクリックして、担保を追加することもできます。なお、こちらのボタンからは担保を減らすことはできず、担保を増やす操作のみ可能です。手順4「担保を増やす」または「担保を減らす」を選んで、調整額を入力して「確定」をクリックします。ダッシュボード画面で「担保を追加」を選択した場合は、担保を増やす操作のみ可能です。「送信完了」と表示されたら、担保の調整が完了です。安全な借入と安定したリターンBybit(バイビット)の固定金利ローンは、ユーザー同士がBybitプラットフォーム上で、仮想通貨(暗号資産)の貸出や借入ができるサービスです。金利が固定のため、借り手はコストの変動リスクを抑えて安全に借り入れでき、貸し手は安定したリターンを得られます。希望の条件を設定できるので、マッチングすれば、有利な条件で借入や貸出できるチャンスがあるでしょう。仮想通貨の借入や貸出に興味のある方は、チェックしてみてはいかがでしょうか。