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ゴールドラッシュXMは本当に儲かるのか?ほぼ破綻リスクゼロのEAの実力は
2024年以降、ゴールドの価格は上昇傾向にあり、投資対象としてより一層の注目を集めるようになりました。ゴールドを取引しようと考えている方の中には、EAを使用した自動売買を検討している方もいるのではないでしょうか。さまざまなゴールド用の自動売買プログラムがネット上で配布されていますが、ゴールドラッシュシリーズの1つである「ゴールドラッシュXM」というEAがよく検索されているようです。この記事では、ゴールドラッシュXMのランディングページで謳われている「1ヵ月で取引資金が2倍に」、「破綻リスクはほぼゼロ」という宣伝文句に違わぬ実力が備えられているのか、フォワードテスト・バックテストを実施して検証しました。目次[非表示]ゴールドラッシュXMのフォワードテスト結果2024年9月ゴールドラッシュXMのバックテストの結果2023年のバックテスト結果2024年のバックテスト結果検証結果からわかるEAの実力、触れ込みからは程遠い月利100%は難しいまさにコツコツドカンなEA破綻回避「IP機能」は扱いづらい提示パフォーマンスにはスワップが含まれていない設定の自由度が低い利用するならトレンド相場に注意ゴールドラッシュXMのフォワードテスト結果1ヶ月間ゴールドラッシュXMのデモ版を使用して、フォワードテストを実施しました。テスト時の条件・設定は以下のとおりです。利用するのは、XMTrading(エックスエムトレーディング)のデモ用のスタンダード口座です。口座資金15万円で検証を実施し、EAの設定は、基本的にゴールドラッシュXMの公式が推奨している設定にしました。なお、複利で運用するモードである「アインシュタインモード」と、両建てにして損失を固定する「IPポジション機能」はオフにしています。(*1)(*2)(*1)アインシュタインモードを有効にすると、資金が2倍になるとロット数も2倍になります。(*2)IPポジション機能とは、両建てすることで損失を固定し、口座資金の大半を失うことを回避する機能です。オンにすると手動で決済注文を出す必要があり、純粋な取引戦略の検証がしづらいのでオフにしています。2024年9月2024年9月2日~25日のフォワードテストの結果は以下のようになりました。25日までの損益は69,035円のプラスで46%分の利益を出しています。9月は損益グラフが右肩上がりで推移しており、経済指標やイベントの影響をあまり受けることなく、安定して利益をあげています。最大ドローダウンは4.93%と、含み損が大きく膨らむ場面もありませんでした。後述するバックテストでは、触れ込みどおりのパフォーマンスを発揮するケースが少なくなっていますが、9月はゴールドラッシュXMが得意とする相場だったといえるでしょう。エラーに注意今回の検証ではデモ版を使用したためか、検証中にEAが停止して決済できないことがありました。ゴールドラッシュXMを使用する際は、念のため注意したほうが良さそうです。ゴールドラッシュXMのバックテストの結果ゴールドラッシュXMのバックテストの結果を確認してみました。2023年から提供されているEAであるため、バックテストの期間は2023年1月~2024年7月としています。取引開始時の口座資金および取引ロット数の設定は下表のとおりです。口座資金1万ドル1ポジション目の取引ロット0.01ロット(稼働最低金額:10万円に対して0.01ロット)口座資金1万ドル1ポジション目の取引ロット0.01ロット(稼働最低金額:10万円に対して0.01ロット)バックテストでは、24時間フル稼働で運用した場合と推奨されている取引時間(MT4サーバー時間5:00~15:00)で運用した場合の2パターンのテストをとっています。なお、オンにすることを推奨されているIP機能は、裁量取引で決済する必要があるため、オフとしています。そのほか、1ヵ月間強制ロスカットされずに乗り切れることが稀であったため、口座資金を毎月初めに1万ドルにリセットする想定で運用しました。2023年のバックテスト結果まずは2023年1月~12月のバックテスト結果を見ていきましょう。取引時間を設定せずフル稼働(2023年)2023年1年間で約-819%と大幅な赤字でした。単月でプラスとなったのは1月と7月の2回のみで、その他の月は強制ロスカットとなっています。単月プラスで終えた月の利益率を見てみると1月は月利90%、7月は月利76.29%となっており、月利だけを見ると大幅な利益にも見えます。しかし、1ヵ月の間で1度でも負けると強制ロスカットで-98%にとなり回復が困難な損失が出てしまいます。そのため、リスクリワード比が良いとはいえません。月ごとの運用結果は下表を参照ください。24時間フル稼働した場合の損益(2023年)2023月損益最大月利1月8999.538999.5390.00%2月-9,847.16916.84-98.47%3月-9,857.951,148.95-98.58%4月-9,845.10320.80-98.45%5月-9,844.82903.10-98.45%6月-9,847.287,023.20-98.47%7月7,628.687,628.6876.29%8月-9,847.34103.00-98.47%9月-9,878.0280.90-98.78%10月-9,858.514,754.15-98.59%11月-9,844.491,302.04-98.44%12月-9,863.5377.07-98.64%トータル-81,905.9933,258.26-819.05%推奨設定で運用(2023年)MT4サーバー時間5:00~15:00のみを取引時間とする設定が推奨されているため、パラメータを推奨設定に合わせて再テストしました。なお、同じく推奨されているIP機能(140pipsの含み損で両建て)は、裁量取引で決済する必要があるため、オフにしています。推奨設定で2023年の1年間分のバックテストをとると、損益は約-508%となりました。推奨の取引時間で運用した場合の損益(2023年)2023月損益最大月利1月4908.14908.149.08%2月2,568.702,568.7025.69%3月-9,853.60828.00-98.54%4月-9,845.90192.10-98.46%5月-9,837.501,029.20-98.38%6月3,548.603,548.6035.49%7月3,327.403,327.4033.27%8月-9,846.2420.10-98.46%9月-9,856.79263.70-98.57%10月-9,860.801,858.50-98.61%11月3,742.803,742.8037.43%12月-9,836.40386.70-98.36%トータル-50,841.6322,673.90-508.42%フル稼働時はプラスで終えた月が2回のみだったものが、推奨設定で運用した場合は5回となり、フル稼働時と比べると強制ロスカットのリスクは軽減しているといえます。しかし依然として強制ロスカットになる可能性は高いといえるでしょう。また、強制ロスカットにならなかった月の利益は稼働時間を限定しているため少なくなっており、リスクリワード比は悪化しています。2024年のバックテスト結果続いて2024年の相場でゴールドラッシュXMを運用していた場合の損益がどうなっていたか、実際にバックテストをとって確認しました。期間は1月~7月です。2023年の検証と同じく、取引時間設定をせずフル稼働した場合と取引時間を推奨設定に合わせた場合の2パターンを検証しました。その他のテスト環境も2023年と同様です。取引時間を設定せずフル稼働(2024年)7ヶ月間フル稼働で運用した場合、トータルで-446.9%となりました。単月をプラスで終えた月は2月と6月の2回でした。月間の最大利益では4,000ドル~6,000ドル程度となったタイミングは複数あるものの、最終的には強制ロスカットとなることが多いようです。なお、月利が100%を超えることはありませんでした。24時間フル稼働した場合の損益(2024年)2024月損益最大利益月利1月-9,845.63706.01-98.46%2月4,056.444,056.4440.56%3月-9,840.50217.80-98.41%4月-9,821.366,159.36-98.21%5月-9,814.933,997.69-98.15%6月380.464,307.303.80%7月-9,806.016,242.35-98.06%トータル-44,691.5325,686.95-446.93%推奨環境で運用(2024年)提供元が推奨している時間設定で運用した場合、7ヵ月で約-208.3%となりました。単月をプラスで終えた月は3回となり、フル稼働時と比べて増えています。推奨の取引時間で運用した場合の損益(2024年)2024月損益最大残高月利1月-9,843.74388.00-98.44%2月3,773.003,773.0037.73%3月-7,235.425,113.90-72.35%4月-9,831.165,986.94-98.31%5月5,576.965,576.9655.77%6月-9,818.461,014.54-98.18%7月6,550.706,550.7065.51%トータル-20,828.1228,404.04-208.27%検証結果からわかるEAの実力、触れ込みからは程遠いここまで確認してきたことを踏まえると、ゴールドラッシュXMの実力はランディングページで謳われているような実力からは程遠いといえるでしょう。月利100%は難しい1年7ヵ月分のバックテストによる検証から、ランディングページに記載されている月利100%を達成するのは非常に困難であるといえます。月利100%を超えた月は1度も無く、最大で90%となっています。その次に大きかったのが76%であり、90%でも上ブレといえるでしょう。またボラティリティの小さいレンジ相場では薄利となりやすい点もネックです。例えば2024年6月のレンジ相場では、利益が3.8%となっています。24時間フル稼働した場合の損益(2024年)ゴールドラッシュXMのロジックを理解したうえで、適切なタイミングで稼働すれば月利100%を達成できる可能性はあるものの、再現性は低いといえるでしょう。少なくとも初心者が安定して利益をあげるのは難しいと感じられます。まさにコツコツドカンなEA月利100%の達成が困難である点は宣伝文句と相違があり、問題がありそうですが、EAを運用するうえでは大きな問題になりません。たとえ100%に満たなくても損失が少なければ使い続ける価値はあるでしょう。しかし、ゴールドラッシュXMはバックテスト結果から分かるとおり強制ロスカットになる頻度が高いため損失が大きくなりやすく、コツコツドカンの状況になりやすいEAといえます。公式サイトでは、10万円の資金に対して0.01ロットが最低条件とされていますが、今回のテストでは、15万円に対して0.01ロットと、余裕を持たせてバックテストを行いました。しかし、強制ロスカットされずに終えた月は19ヵ月中8回(24時間フル稼働では4回)にとどまりました。利益は少しずつ積み上がっていくのに対して、相場が合わないと1度のトレードで強制ロスカットとなり、一気に資金を失ってしまう恐れがあります。破綻回避「IP機能」は扱いづらいゴールドラッシュXMでは、強制ロスカットの頻度が高いという弱点への対策としてIntelligence Protection(以下、IP機能)という機能が設けられています。IP機能とは、ナンピン数が最大の状態になったうえでさらに含み損が増えると、自動で両建てポジションを持つ機能です。ランディングページでは「IP機能を搭載することで破綻リスクは、ほぼゼロに!」と記載されています。たしかにIP機能があることで、両建てを用いて含み損を固定することで、強制ロスカットを一時的に回避できるので、両建てになったポジションを保有し続ければスワップ損益以外で破綻することはありません。その点ではナンピン以外の機能が無いナンピンマーチン型EAと比べて耐久性は高いといえます。ただし、IP機能は最大までナンピンを重ねて、含み損が膨らんだ状態での両建てであり、含み損の状態が継続するだけなので、根本的な解決にはなっていません。また、IP機能による両建てポジションは、自動で解消されず、手動で行う必要があるため、使いこなすのが難しいことも問題です。すでにポジションを抱えた状態での両建て解消は、裁量トレードで利益を出すよりも難易度が高くなりやすいです。公式サイトではIP攻略マニュアルが配布されており、両建て解除の戦略が2例紹介されていますが、ロジック化はされておらず、活用できる場面は限られるでしょう。なぜなら、IP機能が発動するタイミングでは、ナンピンが最大数になるほど、エントリー方向とは逆向きのトレンドが発生している状態であることが想定されます。長期的に強いトレンドが続いていると、たとえ一時的にプラスの方向に動いて両建てを解消できたとしても、再び損失方向に相場が戻る可能性が高いです。その場合、IP機能の両建ては、ほとんど効果を期待できません。結局、長期的なトレンド相場では、IP機能による両建ては一時しのぎでしかないため、破産するまでの時間稼ぎといえるでしょう。提示パフォーマンスにはスワップが含まれていないゴールドラッシュXMではナンピンの最大ポジション数が決められているため、意図せずポジションを長期的に保有してしまう可能性があります。本来であれば長期保有になった場合は、値動きによる含み損益以外にスワップポイントによる損益も考慮しなければなりません。しかし、ゴールドラッシュXMのロジックはスワップ損益が考慮されていないため、スワップポイントによる損失の影響でポジションの損益がマイナスになってしまうケースにも注意が必要です。例えば、XM Tradingのスタンダード口座で1ロットのゴールドのポジションを保有した場合、買いでは1日あたり約7,700円が差し引かれ、売りでは約3,000円のスワップが付与されます。ゴールドラッシュXMをスタンダード口座で使用する場合は、スワップによる取引コストも考慮しましょう。なお、KIWAMI極口座をご利用の場合、ゴールドはスワップフリーで取引できます。FX業者のスワップポイントは、下記のページで比較できるので、参考にしてみてください。参照:スワップポイント比較設定の自由度が低いゴールドラッシュXMにはナンピンの最大数、ナンピンする間隔、ナンピンpips、利確pipsなど一般的なEAに搭載されている設定項目が搭載されていません。相場状況に応じて微調整ができないため、最適化しにくいといえます。EAの最適化とは?最適化とは、エキスパートアドバイザ(EA)のパラメータを変更し、より多くの利益が上がるように調整する作業のことです。EAのパラメーターの数値を少しずつ変更して複数回バックテストを行い、成績の良いパラメータを採用します。一般的なEAなら、強いトレンドが続くとき、ナンピンでエントリーする間隔を広げるなど、相場に合わせた細かな調整ができます。しかし、ゴールドラッシュXMは細かい設定ができないため、EAのオン・オフでしか対応できず、自由度は低いです。さらに、ナンピンの間隔が固定されているため、値動きの大きさが変わっても対応できません。今後、ゴールドの値動きがさらに大きくなった場合も適応が難しくなるでしょう。利用するならトレンド相場に注意ゴールドラッシュXMはナンピンマーチン型のEAのためトレンドが発生すると損失が大きくなります。一般的なナンピンマーチン型EAと違い、一方的なトレンドへの対策としてIP機能が搭載されてはいるものの、両建てポジションの解除には裁量トレードのスキルが必要です。そのため結局は、エントリー方向と逆向きのトレンドが発生している時は非常に扱いにくいといえます。バックテストの結果から分かる通り、単月では利益となっている月もあるため、タイミングを見計らって上手く運用すれば、利益を出せる可能性はあります。しかし、「初心者でも空き時間でカンタン」にできるようなEAではなく、運用方法を慎重に検討する必要があり、初心者には扱いが難しいEAだといえるでしょう。当サイトMyforexでは、トレードの運用成績を可視化・共有できるポートフォリオ機能を提供しています。「運用成績をグラフで確認したい」、「他のトレーダーの成績を見てみたい」と考えている方はぜひお試しください。参照:ポートフォリオ