作成日
:2024.10.31
2024.10.31 08:01
30日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、欧州時間の安値152.78円から10月ADP全米雇用報告(23.3万人増)を受けて153.49円まで切り返した。ユーロドルは、独10年債利回り上昇を受けて1.0871ドルまで上昇した。ポンドドルは1.2937ドルまで下落後に1.3043ドルまで買われたが、一巡後は1.2960ドル台まで押し戻された。
本日の東京外国為替市場のドル円は、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」や植田日銀総裁の会見に注目する展開となる。金融政策については、政治情勢の不確実性が高まっていることで現状維持が見込まれている。
植田日銀総裁は9月の会合で、円安修正が物価見通しの上振れリスクを低下させていること、米国経済に下振れリスクがあることを指摘していた。しかしながら、現状は日本の政治情勢の不確実性が加わったため、追加利上げの先送り観測が高まっている。政権の枠組みが流動的なことに加え、法案成立などで連携が想定される野党は景気刺激的な金融・財政政策を主張している政党が多く、利上げによる金融政策の正常化には慎重にならざるを得ないとの見方が優勢となっている。
展望リポートでは、「経済・物価見通しが実現すれば、利上げで金融緩和度合いを調整していく」との方針は維持されることが見込まれている。注目ポイントは、ターミナルレート(利上げの最終到達点)が中立金利水準と見なされている1.0%付近なのか否かを見極めることになる。
植田総裁の記者会見では、追加利上げまでの「時間的な余裕」の言及に注目。賃金と消費者物価の上昇が続き、ドル円が7月31日の植田ショックの時の高値153.88円に面合わせする中、12月会合なのか、それとも来年以降にずれ込むのかに市場の目が集まる。
本日のリスクシナリオとしては、2022年9月22日の再現に警戒しておきたい。当時は、黒田日銀総裁が日銀会合の後の会見で「当面金利引き上げない」と述べたことで、ドル円は145.90円まで上昇し、本邦通貨当局がドル売り・円買い介入に踏み切り、140円台まで急落した。
植田日銀総裁のこれまでの見解を振り返ってみる。
・ハト派的
「不確実性が大きい場合には、政策変更を慎重に段階的に進めたい。追加利上げを判断するのに、時間的な余裕はある」
・タカ派的
「現在も実質金利が極めて低い水準にあることを踏まえると、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」
「政治家の立場がどうであれ、適切に金融政策運営を行う。今後、政策の正常化の規模はどの程度が適切か、合計利上げ幅を時間軸でどのように配分するのが最善かを考えている」
(山下)
DZHフィナンシャルリサーチ提供: 2024.10.31
作成日
:2024.10.31
最終更新
:2024.10.31
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