作成日
:2025.12.23


2025.12.23 08:03
先週末の海外市場でドル円は、片山財務相の円安けん制発言が伝わると156.71円まで弱含んだ。ただ、下値も堅く157円台を取り戻して引けた。ユーロドルは、ドル円の下落に連れて1.1769ドルまで上昇した。ユーロ円は日本時間夕刻に一時184.92円と1999年のユーロ導入以来の高値を付けたものの、買い一巡後は徐々に上値を切り下げた。
本日の東京時間でのドル円は、口先介入の警戒感が根強いものの、財政拡大に対する懸念が下値を支えることになりそうだ。なお、本日は豪州から豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨が発表されることで、議事要旨の内容次第で豪ドルが動意づくことには警戒したい。
昨日も本邦債券は続落(利回りは上昇)し、新発10年・20年国債は1999年以来、2年国債は1997年以来の高水準を記録した。5年債も2008年以来の水準に達している。為替市場は、日銀金融政策決定会合後に大幅にドル買い・円売りが進んだ調整や、口先介入の影響もあり円の買い戻しが入った。しかし、円金利の上昇幅やスピードと比較すると、為替市場は円買い戻しの勢いは緩やかだ。
本日も円安の流れを止めるような手立ては少なく、実弾の為替介入以外は難しそうだ。中長期的に円売り地合いを強めているのが、高市政権の財政拡張路線に対するネガティブ要素が大きい。高市首相は「責任ある積極財政」と所信表明演説で述べ、「野放図な財政運営をしない」とも発言してきたが、市場は高市首相の言葉とは裏腹に、財政悪化懸念が強まったままだ。
市場の一部では債券売りが行き過ぎているとの声も出ているが、2022年9月に英国のトラス政権が発表した大規模減税政策(ミニ・バジェット)時の英債売りと比較すると、本邦の債券安の値幅は大きくはない。トラス・ショックは債券安だけでなく、通貨ポンド安と英株安にもなるトリプル安だったことを考えると、日経平均株価が堅調なのは高市政権にとっては唯一の安心材料だろう。なお、2022年9月23日一時ポンドドルは1.1274ドルで取引されていたが、トラス・ショックを受けると週明け26日には1.0350ドルまで急落し過去最安値を更新している。当時は英中銀(BOE)が緊急利上げに踏み切るとの噂で持ち直したが、為替市場もトラス・ショックと比較すると円売りの勢いは緩やかと言えそうだ。財政悪化に対する負の側面の金利上昇が引き続き円売り要因として重くのしかかるだろう。
円売りの流れが強い中で、昨日は三村財務官が「(日銀会合後の為替について)一方向で急激な動き、憂慮している」「行き過ぎた動きには適切な対応取る」と発言。木原官房長官も「足もとの為替市場では一方向かつ急激な動きもみられ憂慮している」「為替市場での投機的な動きも含めた行き過ぎた動きについては必要に応じて適切な対応を取る」と発言。そして、片山財務相は「(足もとの円安)完全にファンダメンタルズではなく投機」「投機的な動きには日米共同声明に基づきアクション取る」「過度な為替変動には断固たる措置。介入はフリーハンド」と述べている。
市場では政権与党による「責任の所存が分からない積極財政」が招いた円安相場ということもあり、政権側の発言については自業自得との印象を持ってはいる。よって、本来ならば、口先介入の効果は徐々に薄れるだろう。しかしながら、トランプ政権の発足以来米国サイドもドル高・円安に難色を強めていることは警戒される。今年6月の「外国為替報告書」、10月の日米財務相会談後の米財務省の公式見解で、ドル高・円安を是正する観点から引き締め政策の継続が必要と示していた。クリスマスと年末年始で市場流動性が薄まることもあり、効果的に円売りの勢いを弱めたい場合は、フリーハンドの為替介入を行うには絶好の好機であるが、片山財務相が実行できるか注目される。
本日の日本時間9時半には今月行われた豪準備銀行(RBA)議事要旨が公表される。一部豪金融機関は来年2回の利上げを予想するなど、市場はタカ派に傾きつつあるが、インフレ高進について議事要旨に声明文よりも強い警戒感が示されているかに注目。また、雇用情勢についての詳細も確認したい。理事会後に発表された11月の雇用統計では、新規雇用者数は減少に転じたが、失業率は4.3%にとどまった。11月の新規雇用者数の減少は「統計的なノイズ」と指摘する声もある。議事要旨でRBAがこれまでのように雇用に関し楽観的な見通しを示しているかが注目だ。
(松井)
DZHフィナンシャルリサーチ提供: 2025.12.23
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作成日
:2025.12.23
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最終更新
:2025.12.23
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