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スイスフランショック

読み方 すいすふらんしょっく

スイスフランショックとは、2015年1月15日に起こったスイスフランの暴騰のことをいいます。スイス国立銀行(SNB)の金融政策決定理事会は、自国通貨高を抑制するために2011年9月から3年4か月の間維持してきた、1ユーロ=1.2000スイスフランの上限を撤廃し、為替介入を中止することを発表しました。

国際金融の安定化を目的とする国際通貨基金(IMF)にもこの方針変更は事前に通知されておらず、突然の事態に世界中の企業や投資家は激しく動揺しました。その発表の影響で、わずか20分の間に、ユーロスイスは3,500pips、スイスフラン円は約4,000pips、ドルスイスフランは約2,800pipsの暴騰・暴落を引き起こしました。この急激な値動きは、世界の株式市場の下落や為替レートの混乱を呼び、投資家が追加証拠金を請求されたり、FX会社が倒産したりする事態となりました。

knowledge レート配信が止まれば、ロスカットが執行されない

この緊急事態に際して、レートの配信がストップしてしまったFX会社では、本来設定されていたレート水準でのロスカットが行われず、それとはずっと乖離したレートで強制決済されるという事例もありました。これにより、証拠金を大きく上回る損失(追加証拠金)が発生してしまったのです。瞬間的な暴落・暴騰が起こるいわゆるフラッシュクラッシュでは、このようにロスカットが執行されないことが起こり得るので、日頃から証拠金とポジション数の管理に気を配る必要があります。

スイスフランショックの背景には、2008年のリーマンショックや、2010年から続く欧州債務危機がありました。それらの金融危機を受けて、投資マネーは安全資産である日本円やスイスフランに流入しており、スイスは自国通貨高に悩まされていたのです。輸出依存度の高いスイスにとって、自国通貨高が経済に与える影響は甚大でした。そのため、無制限の「スイスフラン売りユーロ買い」の為替介入を行っていたのですが、それによりユーロ建ての資産が大きく膨らみ、ユーロが下落すればスイスの国民資産が目減りしてしまう状況となっていました。そこに欧州中央銀行(ECB)による量的緩和政策導入の見通しが強まり、ユーロのさらなる下落の可能性が増大し、ついにはSNBがユーロ買いの介入を断念することになったといわれています。


Date

作成日

2021.04.29

Update

最終更新

2022.04.20

斎藤 陽介 | Yosuke Saito

FXトレーダー&金融情報WEBメディア制作経歴10年

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斎藤 陽介

2009年よりFXを始め、現在トレード歴11年目。
トレードの傍ら、金融情報WEBメディアの制作実務を10年間行う。
FXを中心に株・暗号資産などの金融ディリバティブ取引の記事の執筆を多く手がけ、FX攻略.com等専門メディアへの執筆の経歴あり。
FX関連では、ファンダメンタルズや手法に関する記事からFXのメンタル管理まで、幅広い記事の執筆・監修を行う。

監修者情報

山田 大護 | Daigo Yamada

弁護士:専門分野(企業法務・金融法務)

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山田 大護

1997年に東京大学法学部を卒業し、モルガン・スタンレー証券、ドイツ証券にて金融実務に従事。
2007年に司法試験に合格し、2008年に弁護士登録。
証券会社での金融実務の経験を活かし、「企業犯罪と司法取引」「金融機関の相続手続」等の金融法務関連の書籍を監修。金融実務のバックボーンを活かした企業法務弁護士として活躍する。

【紹介ページ】
http://www.kplaw.jp/lawyers/yamada/

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