作成日
:2021.01.29
レイテンシーとは、データを転送する際に発生する通信遅延のことです。IT用語として広く用いられている言葉ですが、FXでも注文を出してから約定するまでにかかる時間差を指す言葉として用いられています。1秒の1,000分の1である「ms(ミリ秒)」の単位で測定され、ごくわずかな差ですが、FX取引の約定力に影響を及ぼします。
投資家は、レートが常に変動している中で、PCやモバイルデバイスを通じてFX会社に注文を出します。約定はFX会社のサーバーに注文情報が到達した後に初めて行われるため、通信遅延によりデータが到達するまでに時間を要すると、目的のレートで約定できず、スリッページが発生する原因となります。そのため、レイテンシーはスキャルピングのような超短期売買において、損益に関わる大きな要因になる可能性があります。
レイテンシーは主に物理的距離の影響を受けるため、注文を出すPCやモバイルデバイスとFX会社のサーバーの間の距離が近ければ近いほど、レイテンシーは小さくなります。なお、レイテンシーが問題になるのは主に成行注文の場合です。指値注文や逆指値注文の場合、事前にFX会社のサーバーに注文を出しておくため、注文到達の遅延によるレイテンシーは発生しません。
レイテンシーは、FX会社のレート提示の遅延を指す言葉としても使われます。各FX会社はそれぞれ独自にレートを提示しているため、インターバンクでのレートの変動を自社のレートに反映するのが速い会社と遅い会社があり、この時間差を利用した取引をレイテンシートレード(レイテンシーアービトラージ)と呼びます。速い会社のレートを参照して遅い会社で取引を行うと、未来のレートを見て取引ができる状態となり、高い確率で利益を上げることができるという仕組みです。人間ではなく自動売買システムを使ったアルゴリズム取引によって超高速売買を行うもので、FX会社がカバー先に注文を流すのが間に合わずに損をしてしまう可能性があるため、禁止しているFX会社もあります。
作成日
:2021.01.29
最終更新
:2024.11.15
2009年よりFXを始め、現在トレード歴11年目。
トレードの傍ら、金融情報WEBメディアの制作実務を10年間行う。
FXを中心に株・暗号資産などの金融ディリバティブ取引の記事の執筆を多く手がけ、FX攻略.com等専門メディアへの執筆の経歴あり。
FX関連では、ファンダメンタルズや手法に関する記事からFXのメンタル管理まで、幅広い記事の執筆・監修を行う。
山田 大護 | Daigo Yamada
弁護士:専門分野(企業法務・金融法務)
1997年に東京大学法学部を卒業し、モルガン・スタンレー証券、ドイツ証券にて金融実務に従事。
2007年に司法試験に合格し、2008年に弁護士登録。
証券会社での金融実務の経験を活かし、「企業犯罪と司法取引」「金融機関の相続手続」等の金融法務関連の書籍を監修。金融実務のバックボーンを活かした企業法務弁護士として活躍する。
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