作成日
:2021.03.05
アービトラージとは、同一の価値を有する商品の価格差や金利差を利用して売買を行い、利益を狙う手法のことです。一時的な価格の歪みを機会と捉えて行う手法で、裁定取引やサヤ取りとも呼ばれています。
一口にアービトラージといっても、さまざまな種類がありますが、FXにおいてはFX会社間の提示レートのギャップを利用したアービトラージが有名です。例えば、A社とB社が提示するレートの差が開いた瞬間に安い方で買い、高い方で売ります。A社とB社の提示レートが全く同じであれば意味がなく、ただスプレッド分がマイナスになるだけですが、A社とB社のレートに開きがあった場合には、その差額を収益とすることができます。
FX取引では、買いの場合はアスクレートで、売りの場合はビッドレートで売買を行う必要があるため、A社のアスクレートがB社のビッドレートよりも低い場合にアービトラージが成り立ちます。
アービトラージは、人間ではなく自動売買システムを使ったアルゴリズム取引によって超高速売買を行うものが主流で、FX会社がカバー先に注文を流すのが間に合わずに損をしてしまう可能性があるため、禁止しているFX会社が多いです。このため、実際にアービトラージを行っている人はほとんどいません。
FX会社間のアービトラージの他にも、「レイテンシーアービトラージ」と呼ばれる、FX会社のレート提示の微妙な時間差を利用して価格差を狙う方法があります。各FX会社はそれぞれ独自にレートを提示しているため、インターバンクでのレートの変動を自社のレートに反映するのが速い会社と遅い会社があります。これを利用して、速い会社のレートを参照して遅い会社で取引を行うと、未来のレートを見て取引ができる状態となり、高い確率で利益を上げることができるという仕組みです。FX会社間のアービトラージは両建てをするのに対し、こちらはレートの遅いFX会社のみでポジションを取るのが特徴です。
また、スワップポイントの差を狙ったアービトラージも有名です。買いのスワップポイントが高い業者で買いポジションを保有し、売りのスワップポイントが低い業者で売りポジションを保有する方法です。同一通貨ペアを異なる業者間で両建てすることにより、為替変動リスクを回避しつつ買いのスワップポイントと売りのスワップポイントの差分が得られます。
作成日
:2021.03.05
最終更新
:2022.05.17
2009年よりFXを始め、現在トレード歴11年目。
トレードの傍ら、金融情報WEBメディアの制作実務を10年間行う。
FXを中心に株・暗号資産などの金融ディリバティブ取引の記事の執筆を多く手がけ、FX攻略.com等専門メディアへの執筆の経歴あり。
FX関連では、ファンダメンタルズや手法に関する記事からFXのメンタル管理まで、幅広い記事の執筆・監修を行う。
山田 大護 | Daigo Yamada
弁護士:専門分野(企業法務・金融法務)
1997年に東京大学法学部を卒業し、モルガン・スタンレー証券、ドイツ証券にて金融実務に従事。
2007年に司法試験に合格し、2008年に弁護士登録。
証券会社での金融実務の経験を活かし、「企業犯罪と司法取引」「金融機関の相続手続」等の金融法務関連の書籍を監修。金融実務のバックボーンを活かした企業法務弁護士として活躍する。
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