作成日
:2021.01.20
インフレ目標とは、中央銀行が掲げる物価上昇率(インフレ率)の数値目標のことで、2%程度を採用する国が多いです。インフレとは、物価が上昇することを指す「インフレーション」の略で、物価の安定を維持することによって長期的な経済成長がもたらされるという考え方に基づいて数値目標が設定されます。
インフレ率を明示することにより、金融政策への理解と予測が進み、企業や家計も経済政策を信頼して経済活動を行うことができるという効果があります。しかし、現実には数値目標をなかなか達成できない場合も少なくありません。インフレ目標は、インフレ率を上げることを目指す場合も、下げることを目指す場合もありますが、物価が下落するデフレーション(デフレ)に苦しむ国が増えた現在では、ほとんどの国で物価上昇を目指すための数値目標となっています。
世界で初めてインフレ目標を導入したのはニュージーランド準備銀行で、1990年のことです。当時の世界経済は、物価が常に上がっていくインフレ基調にあることが一般的で、ニュージーランドでは物価を抑えることも含め、安定的に推移させていく意味で導入されました。
その後、先進国経済は長期にわたり低成長に悩まされ、インフレは常に低い状態に留まるばかりか、デフレに落ち込むことが懸念されるようになりました。その結果、インフレ高騰を抑える意味で導入されたインフレ目標は、意味合いを変質させてゆき、現在のように、物価上昇のための数値目標として扱われることが多くなりました。
中央銀行はインフレ目標を達成するために、金利の上げ下げや通貨量の増減、国債・ETF(上場投資信託)・REIT(不動産投資信託)等の買い入れといった、さまざまな手段を講じます。これらを総称して金融政策と呼びますが、多くの中央銀行はインフレ目標の数値は政府と共有するものの、手段(金融政策)は完全に委任される「手段の独立性」が認められています。
FXでは、インフレ率の高い通貨はインフレ率の低い通貨に比べて価値が下がっていくため、通貨安になりやすい傾向があります。逆に、新興国通貨は高インフレ率の裏返しとして金利が高いことがあります。インフレ率の動向は、金融政策を左右する要素として重要です。
作成日
:2021.01.20
最終更新
:2024.11.15
2009年よりFXを始め、現在トレード歴11年目。
トレードの傍ら、金融情報WEBメディアの制作実務を10年間行う。
FXを中心に株・暗号資産などの金融ディリバティブ取引の記事の執筆を多く手がけ、FX攻略.com等専門メディアへの執筆の経歴あり。
FX関連では、ファンダメンタルズや手法に関する記事からFXのメンタル管理まで、幅広い記事の執筆・監修を行う。
山田 大護 | Daigo Yamada
弁護士:専門分野(企業法務・金融法務)
1997年に東京大学法学部を卒業し、モルガン・スタンレー証券、ドイツ証券にて金融実務に従事。
2007年に司法試験に合格し、2008年に弁護士登録。
証券会社での金融実務の経験を活かし、「企業犯罪と司法取引」「金融機関の相続手続」等の金融法務関連の書籍を監修。金融実務のバックボーンを活かした企業法務弁護士として活躍する。
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