作成日
:2021.07.02
カントリーリスクとは、投資対象としている国の政情や経済情勢によって、投資している資金が損なわれてしまうリスクのことです。狭義には、投資対象国の国債が債務不履行(デフォルト)に陥るリスクのことを指すこともあります。
世界には200近い国や地域がありますが、それぞれの国は政治や経済に特有の事情を有しています。投資マネーが国境を超えて行き来する現代の経済システムにおいては、日本国内からでも簡単に外国に投資をすることができますが、その資金がどれだけのリスクにさらされるのかを知るために意識するべきなのが、カントリーリスクです。
特にFXは外貨の売買をするため、カントリーリスクを意識する局面が多々あります。一般的に高金利通貨と見なされている通貨は新興国の通貨であることが多く、そういった新興国は国債の金利や政策金利が高いため、FXのスワップポイントも高くなります。これだけを見て、カントリーリスクを考慮せず買いポジションを保有し続けると、スワップ収入よりも通貨価値の下落の方が大きくなり、トータルで損をしてしまうこともあります。
典型的な例はトルコリラです。トルコリラ円の買いポジションは高いスワップポイントが得られるため、日本人投資家の間で人気が高かったですが、長期下落トレンドによって大損をしてしまった投資家が続出しました。
2007年には99円台をつけたトルコリラは、2021年には約8分の1となる12円まで下落しており、これだけ価値が落ちてしまうと、受け取ったスワップポイントの分を差し引いても、収支がマイナスになるケースが多くなります。
著名な投資家ジム・ロジャース氏は、ミャンマーのことを「最後のフロンティア」と評しました。他のアジア各国が既に経済発展を遂げ、これからの投資先としてまだまだ成長余地があるとして着目したことを受けての発言でした。こうした評価は世界各国の企業にも共通しており、日本からも多数の企業がミャンマーへの進出を果たしました。しかし、2021年に起きた軍によるクーデターや市民への弾圧は、カントリーリスクが現実になったとして多くの企業が撤退や事業の見直しを迫られました。個人投資家レベルだけではなく、こうした企業レベル、国家レベルにおいてもカントリーリスクは多大な影響をもたらします。
作成日
:2021.07.02
最終更新
:2022.04.20
2009年よりFXを始め、現在トレード歴11年目。
トレードの傍ら、金融情報WEBメディアの制作実務を10年間行う。
FXを中心に株・暗号資産などの金融ディリバティブ取引の記事の執筆を多く手がけ、FX攻略.com等専門メディアへの執筆の経歴あり。
FX関連では、ファンダメンタルズや手法に関する記事からFXのメンタル管理まで、幅広い記事の執筆・監修を行う。
山田 大護 | Daigo Yamada
弁護士:専門分野(企業法務・金融法務)
1997年に東京大学法学部を卒業し、モルガン・スタンレー証券、ドイツ証券にて金融実務に従事。
2007年に司法試験に合格し、2008年に弁護士登録。
証券会社での金融実務の経験を活かし、「企業犯罪と司法取引」「金融機関の相続手続」等の金融法務関連の書籍を監修。金融実務のバックボーンを活かした企業法務弁護士として活躍する。
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