作成日
:2023.03.23
2023.04.30 08:19
ディナポリ手法は、フィボナッチ比率を利用した取引方法であり、FXではトレンド相場での押し目買いや戻り売りに利用できます。この記事では、DMA(先行移動平均線)を利用したディナポリ手法である「シングルペネトレーション」について、実際のチャート画像を用いて詳しく解説します。
ディナポリ手法とは、有名な投資家のジョー・ディナポリ氏が考案した売買手法の総称で、フィボナッチ比率を利用した押し目買い・戻り売りを中心とするものです。
ディナポリ氏は、フィボナッチ比率の活用方法に加えて、トレンド方向を把握する方法を複数紹介しています。日本では、本来の位置から未来にずらした先行移動平均線(DMA:Displaced Moving Average)を用いる「シングルペネトレーション」の手法が有名です。
シングルペネトレーションでは、相場が一方向に進み、DMAを割り込むことなくローソク足が連続して8本以上示現している状態を「スラスト」と呼びます。このスラストによって大きなトレンドが発生しているかどうかを判断し、上昇トレンドであれば押し目、下降トレンドであれば戻り目でトレンドフォローのエントリーを行います。
ローソク足が8本以上連続して上昇している状態を「スラストアップ」といい、強い上昇トレンドを表しています。一方で8本以上連続して下降している状態を「スラストダウン」といい、強い下降トレンドを表しています。
またフィボナッチリトレースメントは、トレンドフォローのエントリーポイントの算出に使われます。フィボナッチリトレースメントは、任意に選んだ起点と終点(一つの波動)に対して、その値幅に対する23.6%、38.2%、50%、61.8%などの押し目(戻り目)の水準を表示するテクニカル指標です。
ディナポリ手法では38.2%から61.8%の間で戻り売り、押し目買いのエントリーを行うことが推奨されています。
DMAを使ったディナポリ手法は、押し目買いと戻り売りを狙うトレンドフォロー型の手法です。したがって相場の方向性が乏しい場合や、値動きが乱高下する激しい相場には向いていません。
まずDMA(先行移動平均線)の設定を行います。設定方法は移動平均線と同じであり、以下の項目が設定できます。
ディナポリ手法のシングルペネトレーションでは、以下のようにDMAの期間を3、シフトを3に設定します。
すると、以下のようにDMAがチャート上に表示されます。
ディナポリ手法を利用したトレード例を、実際のチャート画像を用いて紹介していきます。
13時台から17時台にかけて、DMAを割り込むことなく8本以上連続してローソク足が現れる「スラスト(スラストアップ)」が発生しています。これは相場の強い上昇トレンドを示唆しているため、押し目買いのチャンスと考えられます。このチャートの直近の高値と安値にフィボナッチリトレースメントを適用すると、以下のようになります。
スラストの発生位置と終了位置の前後を目安にすると、高値と安値を確定させやすいです。この場合、フィボナッチリトレースメントの38.2%から61.8%の間で押し目買いのエントリーを狙えそうです。この後のチャートの様子を見てみましょう。
フィボナッチリトレースメントのラインで、価格が反発していることがわかります。特に50.0%、61.8%のラインに強く反応しています。この2つのラインはフィボナッチリトレースメントの中でも特に重要な節目なので、エントリーポイントとしてよく利用されます。
取引をする際は、フィボナッチリトレースメントのラインにタッチしたらエントリーして、直近の高値を超えたら利益確定、直近の安値を超えたら損切りというルールを設定します。
このルールでは、リスクリワードレシオ(利益と損失の比率)がおよそ1:1となるため、バランスの良いトレードができます。上下のラインにタッチしたらポジションを部分決済したり、損切りを建値に移動して勝率を高くしたりしても良いでしょう。
ディナポリ手法は、15分足以下の短期足を軸としたスキャルピングでも使えます。しかし長期足と比べて、相場の流れの切り替わりが早く、勝率が低くなる可能性があるため、複数の時間軸を確認してエントリーをすることがオススメです。
2月末〜3月初旬にかけて、「スラスト(スラストダウン)」が発生しています。これは相場の強い下落トレンドだと判断できるため、戻り売りのチャンスだと考えられます。特に日足や4時間足のような上位足におけるスラストは、相場全体に強いトレンドが発生していることを示唆しています。
トレードのチャンスは少なくなりますが、上位足ほど時間をかけてゆっくりとチャートが形成されるため、節目での反発が起きやすくなります。
スラスト前後の高値安値をとって、フィボナッチリトレースメントを適用すると、上の画像のようになります。50.0%もしくは61.8%のラインにタッチしたら売りエントリー、前回の安値で利確、損切りは直近の高値に設置します。
トレンドが今後も続きそうな場合は、ターゲットに到達しても一部のポジションを残しておいて、さらなる利益を追求しても良いでしょう。今回のケースでは、実際に直近の安値をブレイクし、さらに価格が大きく下落しました。
6時から16時にかけて、「スラスト」が発生しており、戻り売りのチャンスだと考えられます。スラスト前後の高値と安値でフィボナッチリトレースメントを適用すると、上の画像のようになります。50.0%もしくは61.8%のラインにタッチしたら売りエントリー、前回の安値で利確、損切りは直近の高値に設置します。
この例のように、スラストの前後の高値と安値がはっきりしている方が、誰が見てもフィボナッチリトレースメントの位置が同じになります。みなが同じフィボナッチリトレースメントのラインを意識するため、しっかりラインで反発する可能性が高くなります。
一方、高値と安値をどこに置けばいいかわからないようなチャートでは、人によって解釈にズレが生じやすいため、ラインがしっかり機能しないことが多々あります。
ディナポリ手法を利用する際、上位足のトレンドやファンダメンタルズを加味すると、より精度の高いトレードが可能です。またスラストの本数に関しては、10本前後あると、よりトレンドが強いと判断できるため、うまくいきやすい傾向にあります。
しかしエントリー基準とするスラストの本数が多いと、エントリー回数が減ったり、エントリーや損切りの設定が難しくなったりするため注意が必要です。
一方でディナポリ手法では、始値と終値がDMAを割り込んでいなければ、ヒゲがかかっていてもスラストが発生したと考えることもできます。この場合、トレードのチャンスは増えますが、トレンドを正確に判断できないため、精度は下がります。
このようにディナポリ手法のエントリー条件を変更する際は、過去のチャートを利用して検証をしておくことで、実際のトレードの勝率を上げることができます。
ディナポリ手法をDMA以外のインジケーターと組み合わせて利用することで、トレードの勝率をより高められます。ディナポリ手法はトレンドを利用するため、同じくトレンドが把握できるオシレーターのMACDと組み合わせて利用することがオススメです。
作成日
:2023.03.23
最終更新
:2023.04.30
FXトレード歴7年で、海外FX業者の利用経験が豊富。テクニカル分析を用いた短期トレードが得意で、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA)を取得。テクニカル分析からFX業者比較まで、FX関連の幅広い記事の執筆を行う。
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