作成日
:2025.03.11
2025.03.11 08:01
昨日の海外市場でドル円は、米国株式相場が大幅に下落し、米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.19%台まで低下したことが相場の重しとなり、一時146.64円と昨年10月4日以来の安値を更新した。ただ、売り一巡後は下げ渋る展開になり一時147.47円付近まで下値を切り上げた。ユーロドルは欧州市場では一時1.0875ドルと日通し高値を付けたものの、独DAXが一時2%超下落したことで上値も抑えられた。
本日の東京時間でドル円は、引き続き上値は限られそうだ。ただ、昨日は米金利が低下し、本邦新発10年物国債利回りは2008年10月以来の水準となる1.575%まで上昇したにも関わらず、147円台まで戻したことを考えるといったんは下値トライも小休止にはなりそうだ。
ドル円の上値を抑えているのは、上述のように本邦長期金利が上昇過程を辿っていることがあげられる。本日の日経新聞にも指摘されているが、日銀のターミナルレートの水準が見えてこないことで、債券市場では長期金利が連日じり高になっている。植田日銀総裁着任後、市場との対話が全く取れていないことで、債券市場の混乱が続いている。次回日銀の金融政策決定会合は来週18-19日だが、ブラックアウト期間は各金融政策決定会合の2営業日前(会合が2営業日以上にわたる場合には会合開始日の2営業日前)ということもあり、本来ならばブラックアウト期間前に市場へメッセージを送れる状態ではあるが、全くそのような兆候がない。日銀自体が政府の意向に左右されているせいか、ターミナルレートが定かではないことで、本邦長期金利の上昇が円買い意欲を高める要因として残りそうだ。
本日の東京時間では1月家計調査、10-12月期実質国内総生産(GDP)改定値などが発表される。両指標とも重要指標だが、ここ最近の市場の反応は鈍く、本日も反応は限られそうだ。経済指標よりも警戒が必要になりそうなのが、トランプ政権による関税政策になる。日本時間の11日未明に武藤経済産業相がラトニック米商務長官やグリア米通商代表部(USTR)代表と会談した。鉄鋼製品とアルミニウムへの関税措置に対して日本の除外を求めたとの報道もあるが、トランプ米大統領の匙加減一つで決定が下されることもあり、12日発動が迫る追加関税についての発表が注目される。
なお、市場では先週発表されたIMMポジションがこれまでにない13万3651の円ロングだったことを警戒する声もあるが、昨年7月は16万1469の円ショートだったことを考えると、過去最高ということについて拘りを持つ必要はないか。
円以外の通貨ではオセアニア通貨の動向に要注目。昨日は欧州時間にはじり高になったが、米株が急落をしていることで、NY午後にかけてリスク回避に敏感なオセアニア通貨は大幅安となった。本日のアジア・オセアニア市場も株安が先行することが予想され、オセアニア通貨は株価の動きで値幅を伴った動きになりそうだ。
(松井)
DZHフィナンシャルリサーチ提供: 2025.03.11
作成日
:2025.03.11
最終更新
:2025.03.11
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