作成日
:2021.05.14
自社株買いとは、企業が発行した株式を買い戻すことをいいます。企業が自社株を買い戻した後に消却すると株式数が減るため、1株当たりの利益や資産価値が向上し既存株主にとって有利になります。新株発行による増資が行われた際に、既存株主の持ち分が「希薄化」することと正反対の効果があります。
企業によっては買い戻した後に消却を行わず、「金庫株」として保管する場合もあります。再び売り出されて市場に出るまでは事実上消却と同様の効果があり、こちらも既存株主にとって有利になります。
企業が自社株買いを行う主な目的は、株主への利益還元(株主還元)です。株主が受け取る配当額が株数の減少によって増加することに加え、1株当たりの利益や資産価値の向上は株価を上昇させやすくなります。近年の株主重視の風潮に加え、経営陣や社員持株会による保有、ストックオプションなどもあるため、自社株買いを積極的に行う企業が増加しています。
株主への利益還元の手段としては、自社株買いの他に配当があります。これらを足し合わせた金額を「総還元額」といい、企業の株主還元に対する姿勢を示すものとして注目されています。1株当たり利益を増加させるという意味で、さらに負債の返済を含めて株主還元の姿勢・実績の目立つ企業に投資する投資信託などもあります。
米国の投資企業バークシャー・ハサウェイを率い、「投資の神様」と称されるウォーレン・バフェット氏は近年、自社株買いをたびたび行い注目を集めています。長期的な世界株式市場の上昇により納得のいく投資先が見つかりにくい状況で、多額の現金を抱えるバークシャー社はキャッシュを稼ぐ能力が高い自社を「割安な投資先」と考え、自社株買いを行ったのです。自社株買いは株価を適正水準に引き上げる効果があると共に、将来の業績に自信を持っている証拠と考えることもできます。
作成日
:2021.05.14
最終更新
:2024.11.19
2009年よりFXを始め、現在トレード歴11年目。
トレードの傍ら、金融情報WEBメディアの制作実務を10年間行う。
FXを中心に株・暗号資産などの金融ディリバティブ取引の記事の執筆を多く手がけ、FX攻略.com等専門メディアへの執筆の経歴あり。
FX関連では、ファンダメンタルズや手法に関する記事からFXのメンタル管理まで、幅広い記事の執筆・監修を行う。
山田 大護 | Daigo Yamada
弁護士:専門分野(企業法務・金融法務)
1997年に東京大学法学部を卒業し、モルガン・スタンレー証券、ドイツ証券にて金融実務に従事。
2007年に司法試験に合格し、2008年に弁護士登録。
証券会社での金融実務の経験を活かし、「企業犯罪と司法取引」「金融機関の相続手続」等の金融法務関連の書籍を監修。金融実務のバックボーンを活かした企業法務弁護士として活躍する。
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