作成日
:2020.11.30
WTI原油先物とは、WTIというアメリカ産原油の先物商品のことで、ニューヨーク商業取引所(NYMEX:New York Mercantile Exchange)にて上場、取引されています。WTIとは「West Texas Intermediate」の略で、テキサス州西部~ニューメキシコ州などで産出される原油のことを指します。
WTI原油として取引されている米国南部の原油は、硫黄分が少なく軽質なため、ガソリンや軽油の原料になりやすいとして高品質な原油と見なされています。このWTI原油先物は、その取引量の多さから、原油価格の世界的な指標としても機能しています。
WTI原油先物とFXとの関わりとして意識されるのは、資源国通貨の値動きです。カナダやオーストラリア、メキシコなどはいずれも産油国であり、原油価格とそれぞれの国の通貨には相関性が見られることがあります。こうした相関性が見られる局面では、WTI原油先物の価格上昇に伴って、カナダドルや豪ドル、メキシコペソなどが上昇します。
2020年4月20日に、WTI原油先物が史上初のマイナス価格をつけるという異常事態がありました。マイナス価格とはつまり、「お金を払ってでも、原油を引き取ってもらいたい」ということです。このような事態が起きたのは、先物取引では取引できる期限(満期)が定められているためです。WTI原油先物は毎月21日ごろに満期を迎えるため、その日までに損益がプラスでもマイナスでも決済しなければなりません。この時にマイナス価格をつけたのは5月中に満期を迎える原油先物でした。コロナショックによる原油需要の急減で原油保管スペースの枯渇や貯蔵コストの問題が起こり、先物の買い手が激減したため、売るに売れなくなった先物保有者が満期を迎える前に投げ売りをした結果、史上初のマイナス価格となったのです。コロナショックによる経済への影響が顕著に表れた事例といえます。
作成日
:2020.11.30
最終更新
:2024.11.14
2009年よりFXを始め、現在トレード歴11年目。
トレードの傍ら、金融情報WEBメディアの制作実務を10年間行う。
FXを中心に株・暗号資産などの金融ディリバティブ取引の記事の執筆を多く手がけ、FX攻略.com等専門メディアへの執筆の経歴あり。
FX関連では、ファンダメンタルズや手法に関する記事からFXのメンタル管理まで、幅広い記事の執筆・監修を行う。
山田 大護 | Daigo Yamada
弁護士:専門分野(企業法務・金融法務)
1997年に東京大学法学部を卒業し、モルガン・スタンレー証券、ドイツ証券にて金融実務に従事。
2007年に司法試験に合格し、2008年に弁護士登録。
証券会社での金融実務の経験を活かし、「企業犯罪と司法取引」「金融機関の相続手続」等の金融法務関連の書籍を監修。金融実務のバックボーンを活かした企業法務弁護士として活躍する。
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