作成日
:2021.08.24
STP方式とは、FX取引において、トレーダーの注文が直接カバー先の金融機関に送られる発注方式のことです。STPは「Straight Through Processing」の略称で、注文がストレート(直線的)に流れることが由来となっています。
顧客がドル円1万通貨の買いポジションを持った場合、FX会社はドル円1万通貨の売りポジションを持っている状態となり、顧客が利益を上げるとFX会社は損失を出す関係となります。これを避け、顧客の注文の損益の影響を受けないようにするために、顧客のポジションと同じポジションを別の金融機関に発注することを「カバー取引」と呼びます。通常はカバー取引を行うかどうかにディーラーの判断が入りますが、STP方式では自動的にカバー取引を行います。
STP方式での取引ではまず、FX業者がカバー先の金融機関にアクセスし、価格情報を取得します。続いて、FX会社はその価格を、トレーダーに提示します。この際、レートをそのまま提示することもありますし、スプレッドを上乗せした価格で掲示することもあります。価格を見てトレーダーが注文を出すと、FX会社はその注文をそのままカバー先の金融機関に発注するというのが一連の流れです。
トレーダーの注文を機械的に処理する「NDD(ノーディーリングデスク)方式」の一種であり、取引に高い透明性があることが特徴です。取引は自動的に行われるため、FX会社による介入がありません。それにより不利なレート操作や、意図的な約定拒否・リクオートのリスクが存在しないという利点があります。
NDD方式には、STP方式の他に、ECN方式があります。ECN方式は、「Electronic Communications Network」の略称で、ネットワークに参加する当事者同士が取引を行います。
STP方式には、「インスタントエクスキューション」「マーケットエクスキューション」の2種類があります。インスタントエクスキューションは、トレーダーの注文を一旦FX会社が相手となって約定させ、その後カバー先金融機関に発注する方式です。FX会社で約定が行われるため、約定力が非常に高い一方で、急激な価格変動があった場合などにはリクオートとなる可能性があります。一方、マーケットエクスキューションでは、トレーダーの注文はカバー先の金融機関で約定します。市場の流動性(リクイディティ)に影響を受けるため、スプレッドが掲示された価格よりも広がる「スリッページ」が発生するリスクがあります。
作成日
:2021.08.24
最終更新
:2024.11.21
2009年よりFXを始め、現在トレード歴11年目。
トレードの傍ら、金融情報WEBメディアの制作実務を10年間行う。
FXを中心に株・暗号資産などの金融ディリバティブ取引の記事の執筆を多く手がけ、FX攻略.com等専門メディアへの執筆の経歴あり。
FX関連では、ファンダメンタルズや手法に関する記事からFXのメンタル管理まで、幅広い記事の執筆・監修を行う。
山田 大護 | Daigo Yamada
弁護士:専門分野(企業法務・金融法務)
1997年に東京大学法学部を卒業し、モルガン・スタンレー証券、ドイツ証券にて金融実務に従事。
2007年に司法試験に合格し、2008年に弁護士登録。
証券会社での金融実務の経験を活かし、「企業犯罪と司法取引」「金融機関の相続手続」等の金融法務関連の書籍を監修。金融実務のバックボーンを活かした企業法務弁護士として活躍する。
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