作成日
:2021.05.14
内部留保とは、事業を通じて生み出した利益から、税金・配当・役員報酬など社外に流出する分を差し引いた残りのお金で社内に蓄積されるものをいいます。利益は損益(フロー)ですが、内部留保は資産(ストック)です。
内部留保という項目は決算報告書のどこを見ても記載はなく、一般的な概念です。通常は貸借対照表に記載される「利益剰余金」を指して内部留保と呼ぶことが多いです。総資産に対する内部留保の比率は、財務の健全性を示す指標として注目されます。
利益をどのように分配するかは、企業の経営方針や財務の状況などに左右され、決まったルールや手法はありません。株価上昇を目標に株主還元を重視するなら、配当や自社株買いにあてられることが多くなります。一方、財務基盤を強化するなら負債の返済や、内部留保を増やすこととなります。日本企業は欧米に比べて内部留保の割合が多く、資産が多い割に収益性や効率性に欠けるといわれてきました。これが問題視され、近年では株主重視政策や買収防衛策として、内部留保を取り崩して配当に回す企業が増えています。
内部は、使わずにため込まれた現金であるとのイメージが強いですが、内部留保は現金であるとは限りません。貸借対照表に記載されている利益剰余金は、毎年の「利益の残りが積み上がったもの」という意味でしかなく、それが現金なのか、投資されて生産設備などに置き換わっているのかは分かりません。本来投資に回ることもあるお金ですが、近年は現預金で保有される金額が多くなり、景気回復を阻害していると批判されていました。2020年に発生した新型コロナウイルスにより、現預金で保有していた内部留保が資金繰り悪化を防ぐのに役に立ったことから、今後も現預金で保有するケースが多くなるのではないかと懸念されています。
作成日
:2021.05.14
最終更新
:2024.11.19
2009年よりFXを始め、現在トレード歴11年目。
トレードの傍ら、金融情報WEBメディアの制作実務を10年間行う。
FXを中心に株・暗号資産などの金融ディリバティブ取引の記事の執筆を多く手がけ、FX攻略.com等専門メディアへの執筆の経歴あり。
FX関連では、ファンダメンタルズや手法に関する記事からFXのメンタル管理まで、幅広い記事の執筆・監修を行う。
山田 大護 | Daigo Yamada
弁護士:専門分野(企業法務・金融法務)
1997年に東京大学法学部を卒業し、モルガン・スタンレー証券、ドイツ証券にて金融実務に従事。
2007年に司法試験に合格し、2008年に弁護士登録。
証券会社での金融実務の経験を活かし、「企業犯罪と司法取引」「金融機関の相続手続」等の金融法務関連の書籍を監修。金融実務のバックボーンを活かした企業法務弁護士として活躍する。
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