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ビザンチン将軍問題

読み方 びざんちんしょうぐんもんだい

ビザンチン将軍問題とは、数学者のレスリー・ランポート氏らが考案した合意形成に関する問題です。中央管理システムが存在せず、合意の過程で問題を起こす個人が紛れ込んでいる状態で、どのように全員が正しい合意を形成するのかがテーマとなっています。

ビザンチンとは、中世ヨーロッパの東ローマ帝国のことを指しています。問題の舞台は戦いの最中、9人の将軍たちが攻撃か撤退かを決める合意形成を行っている所からスタートします。作戦を成功させるには、9人全員の攻撃指示への合意が必要です。

9人はそれぞれ別の位置に待機しているため、全員が顔を合わせての多数決はできません。今回は「伝令の多数決」によって判断を下すことにしました。多数決のため、4人が攻撃を表明しても他の5人が撤退を表明していた場合、撤退しなければなりません。

今回4人の将軍は攻撃を、4人の将軍は撤退を表明しました。残り1人の将軍の投票によって作戦が決まりますが、この1人の将軍は作戦を失敗させたい裏切り者でした。裏切り者の将軍は、4人の将軍には「攻撃」と伝え、残りの4人の将軍には「撤退」と伝えました。これにより、攻撃を行う将軍と撤退を行う将軍が分かれてしまい、9人全員で攻撃出来なかった結果、作戦が失敗してしまいます。

ビザンチン将軍問題

ビザンチン将軍問題とは、こうした裏切り者がいる状況において、正しい合意を形成する方法を問う問題です。このように、全員の合意形成が取れず問題が生じることを「ビザンチン障害」と呼びます。

ビットコイン(BTC)などの仮想通貨(暗号資産)も、中央管理者が存在しない状態で複数のコンピューターが合意形成を行っています。ビザンチン将軍問題の将軍たちと同様、間違った取引記録が伝達されてしまっては混乱が起こり、通貨としての価値もなくなってしまします。

ビットコインは「PoW(プルーフ・オブ・ワーク)」と呼ばれるトランザクション(取引)の承認方式を採用することで、不特定多数が参加しているネットワークにおける改ざんや不正利用を防ぎ、ビザンチン将軍問題の解決に成功しました。今日ではビットコインを始め、様々な仮想通貨承認方法の1つとして利用されています。

point PoWと51%攻撃

ビットコインのトランザクション(取引)の承認には膨大な計算が必要ですが、全体の計算力の過半数である51%が悪意のあるユーザーによって支配された場合、不正取引や改ざんを成立させることができます。これを51%攻撃と呼びます。51%攻撃に対する明確な対策はありませんが、機器に要求されるコストや計算力の確保の難易度を考えると、ビットコインのようなメジャーな仮想通貨では現実的には不可能とされています。


Date

作成日

2021.09.30

Update

最終更新

2022.12.13

斎藤 陽介 | Yosuke Saito

FXトレーダー&金融情報WEBメディア制作経歴10年

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斎藤 陽介

2009年よりFXを始め、現在トレード歴11年目。
トレードの傍ら、金融情報WEBメディアの制作実務を10年間行う。
FXを中心に株・暗号資産などの金融ディリバティブ取引の記事の執筆を多く手がけ、FX攻略.com等専門メディアへの執筆の経歴あり。
FX関連では、ファンダメンタルズや手法に関する記事からFXのメンタル管理まで、幅広い記事の執筆・監修を行う。

監修者情報

山田 大護 | Daigo Yamada

弁護士:専門分野(企業法務・金融法務)

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山田 大護

1997年に東京大学法学部を卒業し、モルガン・スタンレー証券、ドイツ証券にて金融実務に従事。
2007年に司法試験に合格し、2008年に弁護士登録。
証券会社での金融実務の経験を活かし、「企業犯罪と司法取引」「金融機関の相続手続」等の金融法務関連の書籍を監修。金融実務のバックボーンを活かした企業法務弁護士として活躍する。

【紹介ページ】
http://www.kplaw.jp/lawyers/yamada/

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