作成日
:2021.07.15
オラクル(Oracle)とは、ブロックチェーンに外部からのデータを送ったりデータの正誤を判断したりするシステムのことで、スマートコントラクトで活用されています。ブロックチェーンには自ら外部からの情報を取り入れる機能がないため、オラクルから送られたデータを基に、スマートコントラクトにおいて誰とどのような契約を実行するのかを決定します。
例えば、ブロックチェーンでスマートコントラクトを使った保険があった場合、加入者に万が一の事態が起こった際には保険金が支払われます。スマートコントラクトを利用しているため、事前に定められた状態(事故や健康状態悪化によるケガや病気)と一致すれば、保険金が自動的に支払われます。この際、加入者が事前に定められた状態と一致するのかを、オラクルから送られてきたデータを基にして判断を行うのです。イーサリアム(ETH)など、さまざまな仮想通貨(暗号資産)のブロックチェーンで利用されています。
オラクルは集中型オラクルと分散型オラクルの二種類に分けることができます。
集中型オラクルは、管理者(団体なども含む)が主体となってデータを提供するオラクルです。管理者が世間から必要なデータを効率的に集め、オラクルによってブロックチェーンへデータの送信を行います。データの信頼性は管理者へ依存するため高い信頼性が求められ、ハッキングや間違ったデータの送信を防ぐために多くのコストが必要となります。
分散型オラクルは、参加者全員でデータの提供や管理を行うオラクルです。集中型が管理者の信頼性に依存してしまうことから、分散型が考えられました。しかし、分散型オラクルはデータ提供などの対価の設計が難しく参加者がデータを提供してくれるのかが分からず、提供されたデータの真偽検証やブロックチェーンへ送信しても良いのかの合意形成に時間が掛かってしまうため、実現できている分散型オラクルの数は少ないのが現状です。
オラクルには問題点もあります。オラクルから送られたデータでスマートコントラクトの契約を実行させることができるため、万が一、管理者が不正確なデータを送ってしまったり、ハッキングによって改ざんされたデータが送られたりすると、意図的にスマートコントラクトの契約を操作することができます。そのため、管理者もしくはハッキングを行った者が、不正確なデータでスマートコントラクトを行い利益を得てしまうことが可能となってしまうのです。
作成日
:2021.07.15
最終更新
:2024.11.21
2009年よりFXを始め、現在トレード歴11年目。
トレードの傍ら、金融情報WEBメディアの制作実務を10年間行う。
FXを中心に株・暗号資産などの金融ディリバティブ取引の記事の執筆を多く手がけ、FX攻略.com等専門メディアへの執筆の経歴あり。
FX関連では、ファンダメンタルズや手法に関する記事からFXのメンタル管理まで、幅広い記事の執筆・監修を行う。
山田 大護 | Daigo Yamada
弁護士:専門分野(企業法務・金融法務)
1997年に東京大学法学部を卒業し、モルガン・スタンレー証券、ドイツ証券にて金融実務に従事。
2007年に司法試験に合格し、2008年に弁護士登録。
証券会社での金融実務の経験を活かし、「企業犯罪と司法取引」「金融機関の相続手続」等の金融法務関連の書籍を監修。金融実務のバックボーンを活かした企業法務弁護士として活躍する。
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